一番最初の記憶
まだ弟が生まれていなかった頃だろうか。
家からすぐのところに、公園があり、そこに母とよく散歩に行っていた。
公園には同じくらいの歳の近所の子どもたちが、鬼ごっこなどで遊んでいたものだった。
私は内向的な子どもだったので、一人で砂場で黙々と遊ぶのが好きだった。
母は、そんな私のことを心配したのだろう、「お友達と一緒に遊んできなさい」と、私を彼らのところへ連れて行った。
そこから先のことは覚えていないが、とても嫌だった記憶がある。
鬼ごっこなどやりたくないのだ。砂のお城を作っていた方が楽しいのである。
でも、お母さんはそれを嫌がっている。
お友達と遊ばなければならない。
そうするとお母さんは喜ぶ。
それが「嫌だ」を押し込めた、一番最初の記憶だ。