お誕生日会

母は、「私に友達がきちんといること」に安心していたように思う。

私の中で割としんどかった記憶として残っているのは、「お誕生日会」だ。

 

母が「誕生日会をしてほしい?」と聞いた。

この聞き方は100%私からの「してほしい」という返答を期待している。

なんとなく嫌だったが、嫌な気持ちを抑えることを学んだ私は、期待には応える他はない。

母は「お友達を誘いなさい」と言った。

 

もともと、2人または3人で勝敗のない穏やかな遊びをして過ごすことが好きだった私は、複数人の友人と遊ぶという事が苦手だった。

複数人での遊びには、多く「勝負」が発生するからである。

「お誕生日会」には勿論「勝負」はない。

 

しかしながら、

そもそも「自分」を祝ってもらうために、

自分からやりたいと言い出したことではない「お誕生日会」に、

自分から複数の友人に声をかけるということが、

私には大変なストレスだった。

 

なんとか声をかけ人数を確保し、当日は祝ってもらうことに喜びを表現し、母に感謝を伝える、という一連の流れが終了したとき、疲れてどうしようもなかった。

 

友達は楽しんで帰っていった。

母は娘が喜んだと満足している。

私は「自分の嫌な気持ちは良くないものなのかもしれない」、

「楽しいと思わない自分が悪い」と、

やはり感情をしまい込んだのだった。